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ALL2026.01.1

2026年 年頭所感

—再生・人・体験で旅の理由を創造する—

 

昨年、弊社は佐賀県唐津市に「ONCRI-KARATSU/おんくり唐津」を開業しました。この施設は「古湯温泉 ONCRI/おんくり」に続く ONCRI ブランドの第 2 号店であり、ブランドの本格展開を始動する第一歩となりました。人口減少や地域経済の縮小という課題に直面する唐津市は、観光を基幹産業として育成する方針を掲げています。弊社は、本施設の開業により、この地に息づく歴史や景観、食文化、豊かな自然という資源を"消費"ではなく"磨き直し"によって価値化し、滞在そのものを目的化するリゾートの姿を提示しました。この挑戦が呼び水となり、他事業者の参入と健全な競争を生み、市場全体の厚みが増す—この観光を通じた地域活性化こそが、本プロジェクトの本質的な意義です。

本年度の国内観光は、人気都市の混雑緩和と旅行者の体験志向の高まりを背景に、地方中小エリアへの誘導と長期滞在が一段と進むと見ています。しかし、選ばれるエリアになることは容易ではありません。なぜなら、従来の価値観の延長だけでは、旅の理由は生まれないからです。弊社は、「常識と非常識を掛け合わせ、固定観念を疑い、変わることを恐れずに仮説と実行を重ねる」という姿勢を貫いていきます。さらに、模倣ではなくオリジナリティで競争力を高めます。

弊社の戦略の核は三つあります。第一に「再生」です。新築偏重から離れ、眠っている建物や古い施設を、今の旅の目線で蘇らせるということです。単なるリノベーションに留まらず、地域資源を再編集し、土地の物語を体験として編み直します。第二に「人」です。なぜなら、デザインや空間だけではブランドは育たないからです。美味しいものを創り出す力、温かいおもてなしを形にする力、現場で判断し改善を回す力—人こそが新しい価値を生み出す源泉であり、そのために、採用・育成・評価を一本の線でつなぎ、現場が自律的に挑戦できる組織を磨き上げます。第三に「体験価値」です。日本ならではの旅館スタイルにこだわりつつ、それを現代的に表現します。これらは弊社の強みでもあり、「湯に浸かる時間、食を味わう時間、余白のある設え、細やかな所作」を丁寧に整え、記憶に残る"間"を提供します。

今後は、福岡・佐賀に留まらず九州各県への展開を視野に入れ、都市型ではなく地方型で足場を築きます。唐津や古湯、福岡で培った学びを展開し、「観光を通じて地域活性化に寄与するエリア」に軸足を置きます。一次産業や文化の担い手と連携して滞在価値と地域の稼ぐ力を同時に高め、外から"持ち込む"のではなく、中から"立ち上げる"発想で臨みます。その地の言葉で語り、その地の手触りを宿すことで長期滞在の動機を生み、結果として混雑の分散や持続可能性にもつながると考えます。

昨今、世の中の変化は速く、昨日の常識が今日は非常識になることがあります。だからこそ、弊社は変化をスタッフと共に楽しみ、直販強化や滞在分散、環境配慮といった取り組みを、数字だけでなく"物語"を伴わせて推進します。旅は"移動"から"滞在"、そして"関係"へと深化しています。私たちはその関係づくりの演出家として、ゲストと地域の双方に納得感のある体験を生み出します。日本の伝統的な旅館スタイルである「趣・膳・もてなし」を大切にしつつ、土地ごとの
資源を最適に組み合わせて独自の体験価値を磨き続けることに注力します。そして、核である「再生」「人」「体験」を徹底的に高め、九州の地方から新しい観光のかたちを提示します。さらに、困難な課題に新たな視点で挑み、新しい価値を生み出す、より強固なチームの構築を目指してまいります。

 

代表取締役CEO
副島 和昌

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